新暦だけでは見えない、旧暦の季節感と暦の話

月と太陽

私たちは普段、当たり前のように「1月」「2月」「4月は春」といった月日や季節の区切りを使っています。
しかしその“当たり前”は、実は日本人が長い年月をかけて育んできた感覚とは、少し異なるものです。

今回は、新暦と旧暦の違いを整理しながら、なぜ今あらためて旧暦の視点が注目されているのかを紐解いていきます。

新暦と旧暦の違いとは|二つの暦が示す時間の考え方

私たちが普段使っている暦は「新暦(グレゴリオ暦)(太陽暦)」で、太陽の動きを基準に一年を約365日と定めています。
これは世界共通で使える正確さと利便性があり、現代社会の仕組みは新暦を前提に成り立っています。

一方、かつて日本で使われていた「旧暦(太陰太陽暦)」は、月の満ち欠けを基準とした暦で、太陽の自然と季節のリズムにも寄り添って時間を刻んできました。

新暦が「管理のための暦」なら、旧暦は「感じ取るための暦」。
どちらが優れているのではなく、役割の異なる暦なのです。

日本はなぜ旧暦を使ってきたのか|農耕とともにあった暦の歴史

日本が長く旧暦を使ってきた背景には、農耕文化があります。
稲作中心の暮らしでは、日付よりも日照や気温、雨、生き物の変化といった自然のサインが重要でした。

旧暦は、そうした自然の移ろいと人の営みを結びつける暦で、祭りや年中行事、季節の言葉など、日本文化の土台となってきました。

しかし明治6年、近代化の一環として新暦が採用されます。
生活は便利になった一方で、自然とともにあった時間の感覚は、次第に日常から離れていきました。

新暦だけでは見えない季節|旧暦をもうひとつの物差しとして持つ

現代の暮らしの中で、新春なのに寒い、七夕は雨の印象が強い、春や秋が短く感じられる――そんな違和感を覚えることはないでしょうか。

これは感覚の問題ではなく、新暦と自然の動きとのズレから生まれています。

旧暦では、季節は突然変わるものではなく、兆しを伴いながらゆっくり移ろうものとして捉えられていました。

新暦は現代社会に欠かせません。そのうえで旧暦をもう一つの物差しとして持つことで、行事の意味や季節の感じ方がより深まります。

両方の暦をみるということは、世界の見え方を広げることなのかもしれません。

旧暦の季節感を表した二十四節気・七十二候

旧暦の季節感や時間感覚を、より具体的に教えてくれるのが「二十四節気」と「七十二候」です。
季節を月単位ではなく、自然の微細な変化として捉える日本人の知恵が、そこには凝縮されています。

近年、自給自足や自然農法が見直されている流れから、二十四節気も自然の捉え方のひとつとして役立ちます。詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

季節と調和して豊かに暮らすヒント

ヒント①:行事の日付を「旧暦」で一度見てみる

正月、七夕、節分、お彼岸などを旧暦で確認すると、
行事が“なぜその時期なのか”が腑に落ちます。
理解ではなく、納得に変わる瞬間があります。

ヒント②:月を見る習慣を取り戻す

旧暦は月の暦。
満月・新月を意識するだけで、時間が線ではなく波として感じられるようになります。

ヒント③:「少し先の季節」を味わう

旧暦や節気は、常に今より少し先の季節を指します。
これは日本文化特有の「予祝」「先取りの美意識」。

桜の前に春を語り、暑さの前に涼を設える。
この感覚を知るだけで、日常が丁寧になります。

ヒント④:自然を“管理”ではなく“観察”する

天気予報を見るだけでなく、


湿度
虫の声
空の色

を気にかける。
旧暦は、自然をコントロールするのではなく、対話する姿勢を思い出させてくれます。

おわりに──暦は、生き方の選択でもある

暦とは単なる日付の仕組みではなく、
「世界をどう見るか」という思想そのものです。

旧暦の視点をほんの少し取り入れるだけで、
同じ景色、同じ季節が、これまでとは違って見えてきます。

自然とともに生きてきた日本の時間感覚。
その静かな豊かさに、耳を澄ませてみてはいかがでしょうか。

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