凛とした空気に包まれる冬。
ゆっくりと過ぎる時間の中で、あたたかい湯気とやさしい味が、心までほっとさせてくれる季節です。
年の瀬の食卓やお正月のおせちには、昔ながらの手仕事で仕込んだ保存食がよく似合います。
今回は「黒豆」「大根」「米麹」の3つの冬の食材を使った、4つの保存食づくりをご紹介いたします。
1.つやつやと上品な甘み:黒豆の甘露煮

【材料・準備】
・黒豆 200g
・砂糖 150〜180g(お好みで)
・しょうゆ 大さじ1
・塩 ひとつまみ
・水 800ml
・鉄くぎ(豆の黒い色を保つための鉄物・なければ省略可)
【手順】
① 黒豆をさっと洗い、800mlの水に一晩浸す(8時間以上)
② 鍋に浸し汁ごと黒豆を入れ、砂糖・塩・しょうゆを加える
鉄くぎをガーゼに包んで鍋に入れる(省略可)
③ 弱火にかけて煮立ったらアクを取り、落とし蓋をする
④ 豆がやわらかくなるまで、2〜3時間コトコト煮る
(常に豆がひたひたになる水量をキープ。差し水OK)
⑤ 火を止め、そのまま一晩置いて味を含ませる
【ポイント】
・煮立たせすぎると豆の皮が破れるため、常に弱火で
・差し水は熱湯を使うと豆の皮が破れにくい
・鉄くぎがない場合は、黒糖を少し加えると色が深まります
【保存・食べ方】
・清潔な容器に煮汁ごと入れて冷蔵庫で保存(約1週間)
・お正月のおせち料理には欠かせない一品。日常の箸休めにもおすすめです
2.冬の香りを楽しむ:たくあんづくり

【材料・準備】
・大根 2本(細めでよく締まった初冬の大根が最適)
・ぬか 500g
・塩 80g
・砂糖 大さじ1〜2(お好みで)
・昆布 5cm×2枚
・唐辛子 1〜2本(お好みで)
・ざる・干し網・漬物樽または保存袋
【手順】
① 大根をよく洗い、葉を2cmほど残して切る
② 風通しの良い、冬場の寒風と日光で3〜5日ほど干す
(表面がしなびて、軽く曲がりしんなりする程度まで)
③ ぬかに、塩・砂糖を混ぜて、昆布・唐辛子を加える
④ 漬け:容器にぬか床を敷き、大根を並べて交互に重ねる
⑤ 押し蓋をして重石をのせ、冷暗所で2〜3週間漬け込む
【ポイント】
・ぬかが無くても「塩のみ」「塩+米麹」「酢+砂糖」でもOK
・すぐ漬けない場合は、新聞紙に包んで冷暗所で保存可
・大根の柔らかさが少し残る程度で漬けると食感がよい
(干しすぎた場合は、軽く湯通しすると戻ります)
・漬けて酸味が出たら、冷蔵庫に移して発酵をゆるやかに
【保存・食べ方】
・完成後は冷蔵で1ヶ月ほど保存可能
・毎日の食卓、おにぎりに添えても香り豊かなアクセントに
3.旨みが凝縮された定番おかず:切り干し大根

【材料・準備】
・大根 1本(お好みで)
・ざる または 干し網
・風通しのよい日陰の場所
【手順】
① 大根を細切りにする(幅3〜5mmほど)
② ざるに広げ、日当たりのよい風通しの場所に並べる
③ 2〜3日ほど干して、水分が抜け、白く軽くなったら完成
【ポイント】
・皮ごと使うと、香りと旨み、ミネラルが豊富に残ります
・天日に干すことで、酵素の働きで旨味と栄養がアップ
寒風にさらすほど、自然の甘みが増します
・夜露に当たらないよう、夕方は室内に取り込みましょう
【保存・食べ方】
・密閉袋に入れて冷暗所または冷凍庫で保存(3ヶ月ほど)
・乾燥のまま:短く刻んで味噌汁や豚汁、炊き込みご飯に
・水で戻してから煮物や酢の物づくりにも便利
4.心も体も温まる発酵飲料:甘酒

【材料・準備】
・炊いたごはん 200g
・米麹(生麹または乾燥麹)200g
・ぬるま湯(50~60℃)400ml
・炊飯器(または保温できるヨーグルトメーカーなど)
【手順】
① 普通に炊いたごはんに、ぬるま湯を加えてほぐす
② 少し温度が下がってから米麹を加えてよく混ぜる
③ 炊飯器は「保温」モードにし、ふたを少し開けて6〜8時間保温
④ ときどき混ぜて、甘い香りがしてとろりとしたら完成
【ポイント】
・温度が高すぎると麹菌が死んでしまうため、60℃を超えないよう注意
・時間が経つほど甘みが増すので、味見をして好みのタイミングで
【保存・食べ方】
・冷蔵で3〜4日、冷凍で1ヶ月ほど保存可能
・寒い朝や冷え込む日に、温めて一杯。体の芯から温まります
冬の保存食は、ゆっくりとした時間が生み出す “ぬくもりの味”。
黒豆の艶やかさ、たくあんの香り、切り干し大根の旨み、そして甘酒のやさしい甘さが、寒い日の食卓を豊かにしてくれます。
少しの手間で、家族の笑顔がふえる冬のごちそう。
今年の冬は、昔ながらの知恵を暮らしに取り入れて、手作りの味で年越しを迎えましょう。
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