ホクホクからねっとり系まで、サツマイモの種類とおいしい食べ方

焼き芋の断面

今では年中おいしくいただけるサツマイモ。初物は8月頃から出始めます。「さつまいも」といえば「い~しや~きいも~♪」でおなじみの焼き芋が定番ですね。蒸かし芋にしたりスイートポテト、ご飯に天ぷらなど、色々な調理方法で食べられる万能食材です。今回はサツマイモの種類と生産地、おいしくいただける食べ方などご紹介いたします。

古代から食べられていたサツマイモ

お皿に乗った生のさつまいも

サツマイモはヒルガオ科サルマイモ属の根菜類。原産は南メキシコ、中央アメリカといわれています。ペルー北海岸のモチーカ文化のものと思われる遺跡に、サツマイモの形をかたどった紀元前200~600年の土器も見つかりました。

15世紀半ばから17世紀半ばの大航海時代は、保存がきいて生でも食べられる航海食の芋として重宝されたといいます。その中南米で食べられていた芋が日本に渡ってきたのもそのころ。

日本への主なルートは南方の島や中国大陸から、琉球国(沖縄)に伝わり薩摩藩領(鹿児島県)で栽培されました。江戸幕府が薩摩藩の芋の栽培を奨励したことから「薩摩芋」と呼ばれるようになりました。

サツマイモのいろいろな呼び名

薩摩芋とスコップ

サツマイモの呼称は、元々採れた地名や種類によっていろいろな別名があります。

唐いも、琉球いも、九州いも、長崎いも、蕃藷などのほか、アメリカから直接持ち帰ったアメリカいもと呼ばれる種類もあります。また芋の色で、赤いも、白いも、紫いも、人参いも(隼人芋)といわれたり、甘い味という意味から甘藷、砂糖藷、饅頭藷ともいわれます。

江戸時代には、十三里という呼び名もあったそうです。産地の埼玉県川越から江戸まで十三里の距離があり、「栗より(九里四里)うまい十三里」という謳い文句で売っていました。四国に伝わった栗(九里)の甘さに似た「八里半」という作物もサツマイモの一種だと考えられています。

救荒作物といわれるサツマイモ

薩摩芋の芽

救荒作物とは肥料いらずで連作障害が起こりにくく栽培しやすい野菜のこと。ヒエ、アワ、スギナ、ワラビなどがあり、サツマイモもそのひとつ。

サツマイモは生命力が強く、芋の欠片や苗一本あれば育てることが可能です。干ばつに強くやせた土地でも育つため、江戸時代の飢饉や戦時中の食糧難の時に食べられた救済の作物でした。

今は芋の部分だけを食べますが、昔は葉や蔓(つる)の部分も大切に食されていました。芋の根さえ満足に食べられない時代があったということです。大地の恵み、ありがたくいただきたいですね。

サツマイモの生産地

サツマイモ畑

サツマイモは日本全国で栽培できますが、温暖な気候を好みます。北海道などの寒い地域ではサツマイモよりもジャガイモの栽培が向いています。

サツマイモの収穫量が一番多い生産地は鹿児島県で、次に茨城県と千葉県です。特に温暖な鹿児島では2月に植えて初夏に収穫する早堀のサツマイモとして出荷され、多くは加工品に使われています。他の地域では5月から6月に植え付けされ、秋から冬に収穫されるサツマイモが一般的です。

サツマイモの旬は秋から冬

掘りたてのサツマイモ

サツマイモの種類にもよりますが、早いところでは8月から初物が出回ります。サツマイモは掘りたてよりも収穫してから少し寝かせた10月から1月が食べごろ。10~15℃の貯蔵で1~3か月ほど追熟すると、デンプンが酵素分解し糖化するため、甘さが増すというわけです。

今では保存技術も進み年中いただけるようになりました。ご家庭で保存するには冷蔵庫ではなく、冷暗所での常温保存がおすすめです。

サツマイモの種類と3つのタイプ

色々なサツマイモ

サツマイモには味、色の違いなどたくさんの種類があります。わかりやすいのは食感の違いで調理方法や好みのものを選ぶと良いでしょう。鳴門金時、安納芋、紅あずまなど、人気の品種を3つの食感タイプに分けてご紹介します。

【ホクホク系】

ホクホク系のさつまいも
  • 鳴門金時
  • 紅あずま
  • 紅さつま

昔ながらのホクホクとした食感、程よい甘さと安定のおいしさを誇る品種。焼き芋のほか、レモン煮、天ぷら、炊き込みの具にもぴったりです。

【しっとり系】

しっとり系のさつまいも
  • 高系14号
  • シルクスイート

滑らかでしっとりとした舌触りと、甘さの中にもさっぱりとした味わいの品種。お菓子や料理、どんな調理法にも向き、癖がなくいただけます。

【ねっとり系】

ねっとり系のさつまいも
  • 紅はるか
  • 安納芋

ねっとり感と際立つ甘さが大人気の品種です。焼き芋、干し芋、スイートポテトなど、お菓子づくりにおすすめです。調理する際は60~70℃の温度でじっくりと加熱すれば、更に甘味が増します。

サツマイモの栄養素と食べ方

おかずにもおやつにもなる大学芋

サツマイモは食物繊維が豊富で、美容と健康にいい食べ物として人気です。エネルギー源となるデンプンが多く、ビタミン、カリウム、鉄、葉酸など様々な栄養素がたくさん含まれています。皮ごと食べると消化酵素の働きで吸収もよくなるそうですよ。

サツマイモご飯にしたり、味噌汁や煮物の具、きんぴら、天ぷらなど、どんなおかずにもなります。甘いサツマイモはスイーツにもぴったり。昔から焼き芋、蒸かし芋は定番のおやつでした。干し芋や芋けんぴにして保存食として常備もできます。芋きんとん、大学芋、スイートポテト、蒸しパンなど、実に様々な食べ方があります。

また、加熱したサツマイモを一度冷やせば、レジスタントスターチという栄養素が増えてダイエットにいいのだとか。冷やし芋や芋アイスにしていただくのもおすすめ。

そう、サツマイモは秋だけではもったいない。他の季節でもおいしくいただける万能食材なのです。

絶品!紅はるかを使った生絞りモンブラン

VMGカフェのアフタヌーンティーの生絞りモンブラン

千葉県産のサツマイモを使ったスイーツをご紹介します。香取市佐原にあるVMG CAFEでは、地元産の紅はるかを使った「生絞りモンブラン」が大好評。注文されてから丁寧に絞られるモンブランは、ふわりとした食感に上品な甘さが口いっぱいに広がるおいしさです。ぜひ一度ご賞味ください。

● VMG CAFE 佐原
所在地 千葉県香取市佐原イ1720 GEISHO棟(カフェ)

公式サイト https://www.nipponia-sawara.jp/cafe/

【千葉 佐原】佐原商家町ホテル NIPPONIA

所在地:千葉県香取市佐原イ1708-2 KAGURA棟(フロント・レストラン)
公式サイト:https://www.nipponia-sawara.jp/