みそ汁、漬け物、梅干し。どれも日本の食卓に欠かせない、ほっと心を和ませる日本食です。
海に囲まれ四季と共に生きてきた日本では、高温多湿な気候の中で食材を守り、季節ごとの味を楽しむ知恵が育まれてきました。その中心にあるのが、昔ながらの「保存食」という文化です。
「塩・砂糖・酢・醤油・味噌」といった身近な調味料を使い、自然の力で食材をおいしく長持ちさせる。それは、生きていくために培った日本人の知恵の結晶です。
この記事では、昔ながらの日本食を支える5つの基本調味料を、保存食の視点から、現代の暮らしにも役立つ形でご紹介します。
目次
保存食とは?四季と共に育まれた日本の知恵

昔ながらの味を支える5つの基本調味料
1. 塩(しお):自然がつくる“旨味の原点”

- 塩の役割
食材の水分を調整し、雑菌の繁殖を防ぐ
素材の旨味を凝縮し、味を引き締める - 昔ながらの塩とは
海水をそのまま天日や平釜でじっくり乾燥させた「自然塩」は、ミネラルが豊富で、味にまろやかさと深みがあります。一方、精製塩はナトリウムだけを高純度で抽出しており、味が尖ってしまいがちです。健康を気遣うなら食塩相当量(%)が低い「自然塩」を選ぶとよいでしょう。 - 選び方・見分け方
成分表示に「海水」「天日塩」「平釜」といった記載のものを選ぶ
「精製塩」「食塩」とだけ書かれたものは避ける
結晶が粗く、手に取ると少し湿り気を感じるものが自然塩
食塩相当量(%)が低い自然塩を選ぶ(食塩以外のミネラルが多い)
2. 砂糖(さとう):やさしい甘みで“味の調和”を生む

- 砂糖の役割
甘みで味をまとめ、素材の角をとる
発酵のバランスを整える - 昔ながらの砂糖とは
きび砂糖やてんさい糖、黒糖などの自然糖は、素材由来のミネラルが残っており、コクと香りが豊かです。
精製された白砂糖は扱いやすい反面、風味が単調です。また胃もたれや体を冷やしやすいと言われています。 - 選び方・見分け方
原材料名に「さとうきび」や「てんさい」と明記されたものを選ぶ
白くサラサラより、少し茶色くしっとりしたタイプが自然な証
(ただし精製砂糖を茶色く着色している場合もあるので注意)
黒糖は香りが強く、佃煮や煮物などに最適
3. 酢(す):酸の力で“清め・守る”

- 酢の役割
酸による殺菌作用で保存性を高める
味を引き締め、香りを添える - 昔ながらの酢とは
「純米酢」「純りんご酢」など、“純”の文字がつくものは、自然発酵によってじっくり熟成されたお酢です。人工的に酸味を加えた「調味酢」は、風味は強いものの、発酵由来のまろやかさが失われています。 - 選び方・見分け方
ラベルに「純米酢」「純りんご酢」などの表記があるものを選ぶ
成分欄が「米」「米こうじ」「りんご果汁」など、自然素材だけのものが理想
酢の色がほんのり琥珀色で、ツンとしすぎない香りが本物の証
4. 醤油(しょうゆ):発酵が生み出す“和の香り”

- 醤油の役割
発酵による旨味と香ばしさを加える
味をまとめ、保存性を高める - 昔ながらの醤油とは
木桶で一年以上かけて熟成させる「天然醸造醤油」は、発酵菌が生きており、香りと旨味の層が豊かです。短期熟成や添加物入りの速醸タイプとは一線を画します。 - 選び方・見分け方
「本醸造」「天然醸造」「木桶仕込み」と書かれたものを選ぶ
成分欄が「大豆(国産)」「小麦」「食塩」のみのシンプルなものが良質
光に透かすとやや赤みを帯びた深い色をしているのが自然な醤油
5. 味噌(みそ):麹の力で“旨味を育てる”

- 味噌の役割
発酵の力で保存性を高め、旨味と香りを加える
食材を包み込み、味にまろやかさを出す - 昔ながらの味噌とは
米や麦、大豆を麹と塩で仕込み、自然のままに発酵させた「天然醸造味噌」。生きた菌が活躍し、風味が深く、栄養も豊かです。スーパーに多い加熱処理味噌(殺菌済み)は発酵を止めているため、風味や健康効果は控えめです。 - 選び方・見分け方
「無添加」「生味噌」「天然醸造」の表記があるものを選ぶ
成分に「酒精(アルコール)」が入っていないものが自然発酵タイプ
冷暗所または冷蔵保存され、香りがふくよかな味噌が“生きている味噌”
調味料を見直すことは、暮らしを見直すこと

調味料は、料理の脇役ではなく“味の土台”です。
昔ながらの調味料は、時間と自然の力をかりて作られるもの。だから食材を活かし、体に馴染むやさしい味を生み出します。添加物に頼らず、時間と発酵の力で作られた“本物の味”。調味料の選び方ひとつで、食卓の印象も、身体への優しさも変えていけます。それは、自然と共に暮らしてきた日本人の知恵そのものです。
日々の暮らしで、料理の味付けの順番を表す「さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(醤油)・そ(味噌)」を丁寧に選んでみましょう。それだけで、料理の味が変わり、台所がもっと楽しくなりますよ。