意外と知らない身近な「塩」の歴史や種類、作り方について

ザルに入った塩

私たちの生活や健康にとって切っても切り離せない「塩」。料理をする時は必ずと言っていいほど使われている調味料です。ひとくちに「塩」と言っても、国内外には実に様々な種類のものがあります。今回は、「塩」の歴史や種類、作り方についてご紹介します。

塩の歴史は、まさに人類の歴史

自然の力で買い髄を蒸発させてつくる自然塩

人間が生きていくうえで欠かせない塩。日本史上で塩が登場するのは、縄文時代後期から弥生時代初期と言われています。世界を見わたしてみると、メソポタミア文明やエジプト文明といった古代文明発祥の頃には、すでに塩産業があったようです。

それらの地域に共通するのは、すべて川が近いということ。さらに、塩の生産地が存在していたということです。死海などの塩湖があった地域では、古代オリエント文明が栄え、ヨーロッパ文明の礎になったともいわれています。

世界とは異なる日本の塩づくり

日本の昔ながらの塩づくり風景

日本は海に囲まれていますが、多雨多湿で平地面積も小さいため、海外のように塩田で1〜2年もかけて塩を結晶させるという方法は向いていませんでした。そのため日本では、塩を取るために様々な工夫をしてきました。

塩田で塩づくりをする風景

塩を作る工程は、採鹹(さいかん)と呼ばれる海水からかん水(濃い塩水)を採る段階と、煎熬(せんごう)と呼ばれるかん水を煮詰めて塩にする段階を経て、脱水、塩の完成となります。 日本におけるもっとも古い塩作りの方法は、干した海草を焼いて残った塩の混ざった灰をそのまま使う方法です。

6~7世紀になると干した海草に海水をかけ、かん水を採るようになり、それを土器に入れて煮詰めて塩を作るようになりました。この方法は日本独特のもので「藻塩焼き」と呼ばれます。 海水を濃縮してそれを煮詰める、という2つのプロセスからなる日本独自の製塩方法は、技術的には大きな進歩を遂げていますが、基本的な原理は大昔から変わりありません。

塩の種類と特徴

塩の種類

ひと口に「塩」と言っても、世界中には様々な種類のものがあります。食品表示の名称に「塩」と書かれていても原材料から違います。国内で主に流通している塩の原料は大きく分けて【海水・岩塩・湖塩】です。

【海水】

海水を原料にした塩。海水から塩にする工程により違いがあります。

  • 天然塩(自然塩・天日塩)
    海水を天日や煮詰めなど昔ながらの方法でつくられた塩は、産地によって味も様々。自然の栄養素やミネラルが豊富なため、旨みやコク、甘みを感じられるまろやまな味わいの塩になります。
    食品表示には、工程『天日』『平釜』『逆浸透膜』などと書かれています。
  • 精製塩(食塩)
    海水を電気分解(化学反応)して塩化ナトリウムを99%以上に精製した塩。大量生産ができ安価なため外食産業や加工食品に広く使われています。
    食品表示には、工程『イオン膜』『イオン交換膜』『立釜』などとあります。

「精製塩」は不純物を取る過程でミネラルも取り除いてしまいます。食塩相当量の高い精製塩は控えたほうがいいでしょう。「天然塩」に多く含まれるミネラルは塩化ナトリウムの吸収を穏やかにしてくれるため、むしろ適度に摂ったほうが良い塩といわれます。

【岩塩】

原料が岩塩。むかし海だった場所が隆起などで海水が閉じ込められ、何らかの形で塩の成分が結晶化したもの。 地中の有機物も入り込むため様々な色や味がありますが、硬く結晶化した岩塩はほぼナトリウムのため、実はミネラルが少ない塩です。食品表示に食塩相当量90%以上とあればミネラルは10%程度でしょう。世界の塩の生産量の約3分の2が採掘された岩塩。日本では岩塩は採れません。

【湖塩】

原料が湖塩。イスラエルの死海やボリビアのウユニ湖など、かつて海だった場所の水が蒸発し、塩分濃度が高くなったところ(塩湖)で採掘、製造された塩です。日本ではあまり流通していません。

再生加工塩・加工塩

精製塩を岩塩風にしたもの、岩塩を精製したもの、別の食材やエキスを加えた「再生加工塩」というのもあります。精製塩に後からにがり(ミネラル)を加えているものも加工塩になります。抹茶塩、ゆず塩、ガーリックやハーブなどの風味をつけたシーズニング、フレーバーソルトなども加工塩に分類されます。

塩の種類は実に様々。和食や繊細なお料理には、塩の産地やミネラル成分によって味が大きく変わります。塩の見分け方は『原材料名』と『工程』を見ればわかります。ミネラルは栄養成分表示の数値を参考にしましょう。毎日使う調味料だからこそいいものを摂り入れたいですね。塩そのものの味や特性を知って、ぜひこだわりの塩を探してみてください。

広島県竹原の塩づくり

広島県竹原市の塩づくり

江戸時代より300年以上もの間、塩づくりで栄えてきた広島県竹原市。

ここ竹原では、昭和35年の塩田廃止により途絶えていた伝統の塩づくりを再現しました。流下式の塩づくりができる施設で、どなたでも気軽に塩づくり体験ができます。海水の水分がなくなるまで、かき混ぜながら窯で煮詰めるという伝統的な手法。塩の一番結晶のことを「塩の花が咲く」と言います。とても素敵な表現ですね。

塩づくり体験につきましては、下記公式サイトをご確認ください。

・竹原市公式観光サイト ひろしま竹原観光ナビ 公式サイト 
https://www.takeharakankou.jp/experience/19654

歴史と文化が息づく町・竹原を味わい尽くす

製塩業で栄えた竹原市

製塩業によって栄えた竹原は、歴史的建造物も数多く残る町としても知られています。

平安時代には京都の下鴨神社の荘園として栄え、江戸時代には製塩業を始め酒造業などをきっかけに、京都や大阪の商人との交流で発展しました。そこから『安芸の小京都』と呼ばれるようになり、今も当時の町並みが重要伝統的建造物群保存地区として残されています。 また、竹原は多くの優秀な文化人を輩出したこともあり、「文教の地」としても知られるようになりました。

そんな竹原の歴史を感じ、塩にこだわったお料理を味わうなら、ぜひ「NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町」へ。伝建地区を有する竹原のまちに住んでいるかのような特別な滞在を楽しめます。また、ホテル内にあるレストランルアンで、ここ竹原でしか味わえない一皿に出会う貴重な体験ができることでしょう。

NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町の和フレンチ

・【広島 竹原】NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町

所在地 広島県竹原市中央3丁目16-33(フロント)
    広島県竹原市本町1丁目4-16(レストラン)
問合せ TEL 0120-210-289 VMG総合窓口(11:00~20:00)
公式サイト https://www.nipponia-takehara.com/